「占領の囚人たち」作品上映会にあたって

情報公開した通り、びわこ哲学カフェではパレスチナを題材とした演劇作品である「占領の囚人たち」の上映会を開催することにいたしました。

https://biwako-philosophycafe.amebaownd.com/posts/53596407

びわこ哲学カフェがなぜこのような会を開くのか、疑問に思われる方もいるかもしれません。特定の思想に肩入れするのではなく、大事なのはあくまで双方の対話ではないのか、と。哲学的な「対話」を謳う場を運営するものとして、その意見を否定するつもりはありません。ここでは主催者の考えを改めて記しておきたいと思います。

この社会には各人の置かれた立場や状況、背景の違いによるさまざまな不均衡が存在し、そのことが対話を困難にする大きな要因になっている。このことを私は哲学カフェを開催することで身をもって体感しました。同時に、対話の場でどんなに努力をしても、社会に不均衡が存在する限り、この困難さを取り除くことは容易ではないということも痛感してきました。そうであるならば、対話の場で工夫を重ねること(当然その努力は必要ですが)と同時に、いやむしろそれ以上に、対話を困難にしている社会のさまざまな問題について声を上げ、取り組んでいくことが必要なのではないか。私は哲学カフェの開催を続ける中でこのように考えるようになりました。

今回の上映会を企画するにあたり、いま、現在進行形で多くの人々が犠牲になっているパレスチナの状況について、単に哲学カフェで話題にするのではない形で学び、何らかのアクションを起こしたいという思いがありました。「占領の囚人たち」は、カメラが立ち入れないイスラエルの尋問所や刑務所や軍事裁判所を証言を基に舞台上で再現したドキュメンタリー演劇であり、パレスチナの人々が置かれている過酷な状況について教えてくれる貴重な作品です。同時に、この作品が描く収監された人々の軽視や女性蔑視の問題は日本の社会にも地続きのものであり、この作品が問いかける問題を自分たちのものとしても考えることができると思います。

私たちの周りで現在進行形で起こっている問題について、気にはなるけどなかなか考えるきっかけがなかったという方も、ぜひこの機会に上映会ご参加いただければと思います。この上映会が、哲学カフェと同じように、自分たちを取り巻く問題について改めて考えるきっかけとなれば幸いです。

なお、今回共催の大川千里さんがパレスチナ・イスラエル問題をあまり知らない人にもわかりやすいように資料をご作成いただきました。こちらから閲覧可能ですので是非ご参照ください。

びわこ哲学カフェ主宰 山本和則



びわこ哲学カフェ便り

滋賀県大津市で開催している哲学カフェの情報を掲載しています。

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